10年にも渡る訴訟によって、著作権は「アイデアの表現」を保護するものであり、アイデアそのものを保護するものではない、と最高裁は指摘しました。
ついに決着、グーグル対オラクルのJava訴訟–判決の意味を考察
米連邦最高裁判所は米国時間4月5日、GoogleによるJava APIの使用は合法であるとの判断を下した。
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日本では「著作物」とは「思想又は感情を創作的に表現したもの」(著作権法2条1項1号)とされており、TRIPS協定やWIPO著作権条約を結んでいるため同じく適用されます。
このアイデアとは、Java API (Application Programming Interface) を定義するコードであり、APIを考えた人にとってアイデアと思うかもしれません。しかし、Java API の一部をコピーして、APIに互換性を持たせたインターフェースを開発することは多くの企業で利用されていると思います。
例えばGoFのFacadeパターンでAPIのインターフェースを意識して利用することもあると思います。一方で、Javaを開発したOracleは今後もJavaのAPIを無償でコピーして販売されたら困るという事情もあるかと思います。
可用性と権利保護(著作物を創作した時点から著作者の生存年間及びその死後70年間)について、多くのシステムで用いられているAPIをどうやって企業法務が著作権を守るべきか考えさせられる事案でした。
なお、オープンソースコードの脅威の高まりから企業の法務部門はソフトウェア構成分析(Software Composition Analysis)の導入が増え続けています。SDKI Inc.によれば、この市場は、2020ー2025年の予測期間中に21.7%のCAGR(年平均成長率)だと予測されています。この市場でシェアを占めているのがSynopsys, Inc.のBlack Duck、Sonatype Inc.のnexus lifecycle、WhiteHat Security, Inc.のSentinel SCA、Veracode Inc.、WhiteSource Software Inc.のOpen Source Management、Flexera Inc.、Contrast Security, Inc.のCONTRAST OSS、NexB, IncのDejaCode、Dahua Technology Co., Ltd、SourceClear Inc.のVeracode、Rogue Wave Softwareなどが挙げられます。