私も経営計画書に携わっておりましたが、経営計画書を元に各事業部門の事業計画に落とし込まれていきます。つい定量的な目標数値に目が行ってしまいがちですが、ここでガバナンス(企業統治)をしっかり盛り込んでおくことが、経営者にとって命綱になります。つまり組織が大きくなると経営者は目が届かなくなるため方針として打ち出すことが大切です。トップの責任ですが、本質的には参謀が不在だったことによる敗北だと感じます。
参考資料 金融庁 みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループに対する行政処分について みずほ銀行 2020年度決算会社説明会の本編資料
(1)システムに関するリスクと専門性の軽視
運営方針について以下の3点ですが、システムに関して運営方針が定められておりませんでした。
- 財務運営
- ビジネス戦略
- 経営基盤改革
(2)IT現場の実態軽視
運営方針の経営基盤改革において、『熱意と専門性』を軸とする人事戦略となっております。しかし、インダストリーグループ(IG)制の導入によるビジネスの獲得が目的となっており、システムリスク管理態勢についての戦略がありませんでした。
(3)顧客への影響に対する感度の欠如と営業現場の実態軽視
運営方針のビジネス戦略において、ビジネス機会創出に資する営業体制の変更となっております。しかし、顧客とのエンゲージメントを深化することでビジネス機会を創出することが念頭にあり、既存のサービスを利用する顧客について、いわゆる持続的成長における2つの要因「既存事業の強化」と「新規事業の育成」のバランスがとれていませんでした。Mutually Exclusive, Collectively Exhaustiveといった考え方が必要だと思います。
(4)言うべきことを言わず、言われたことしかしない姿勢
パターナリズムによって、強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益のためだとして、本人の意志は問わずに介入・干渉・支援しつづけ、依存関係をつくり支配されてしまうと、ミッションよりも忠誠心によって上司の思いを慮って言うべきことを言わず、自分で判断することが出来ないことから、言われたことしかしない姿勢に繋がります。これは社員が悪いのではなく、そのような伝統的な価値観による弊害です。自分の意見を持ち、失敗よりも自分で判断したことを評価する価値観が必要だと思います。