映画監督 田﨑竜太によれば「戦隊と比較してライダーは『個』である」「人間という集合体の中の一番はじっこにいる」「境界線ギリギリのところにいるか、あるいは踏み越えている」のように述べています。
ショッカーに立ち向かう仮面ライダー、これは「セキュリティ、プライバシー、DX推進」などに立ち向かう一人情シスとよく似た光景だと感じます。
なお、仮面ライダーの本郷猛は城北大学生物学研究室の学生だったが、優秀な人間であるためにショッカーに拉致され、バッタの能力を持つ改造人間にされてしまう。
一人情シスもまた、システムエンジニアの能力を持つ人間ですが、それ以上に「何でもできる人間」とレッテルを貼られてしまう。これは本人が望んだ状況ではないことが多いと感じます。
他にもガンダムのアムロ・レイや銀河英雄伝説のヤン・ウェンリー、エヴァンゲリオンの碇シンジなどと共通しているのが、本人が望んだわけではない役割という共通点です。
改造人間として生きる目的を自ら見出し「人々を守ること」とした仮面ライダーの物語には、一人情シスに通じるものがあると感じます。
石ノ森 誰の中にもあって、それがある日何かのきっかけで開花していく――そういうニーチェじゃないけれど、超人思想というか、まだまだ人間には可能性があるんだと思いたい。人間への信頼っていうのかな。それが根底にあって、普通の少年や青年でもヒーローになれるという、そういう発想がある。
仮面ライダーはなぜ人々に共感されるのか | 秋保 慎太郎
(中略)
石ノ森 平凡な人間だから、正しいこと、人間らしいことがヒーローの基本線になっていく。やはり「正義が勝つ」というものすごいシンプルな基本は、僕は大人になっても持ち続けるべきだと思う。そういうシンプルな考え方に対して冷ややかになっているじゃない。世の中というのは、みんな灰色で、何がよくって正しいか、何が悪いのかっていうのが釈然としない、というのが全員に行き渡っている。子どもにまでそういうのが広まっていて、みんな冷ややかな目で世の中を見ているという状況は怖いと思う。
ヒーロー物に託した最大のメッセージは、どういう大人になっても、「やっぱり正義は勝つんだよ」ということを、シンプルでも、みんながあざ笑おうが、人間として心のそこから思おうということなんだよ。それを言い続けて生きたいと思うんだよ。