予測モデルの進化。線形モデルから決定論的カオスモデルへ
「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざを、ローレンツはバタフライ効果(ポジティブ・フィードバック)と名づけております。これが後でいうところの決定論的カオスモデルに発展します。
しかし、現在ビッグデータで使われている予測モデルは、均衡関数に基礎をおく線形モデルによって行われています。これでは、すべての要素が他の要素に対していかにして継続的に適応しつつあるかということを示すが、その際多くのポジティヴ・フィードバックに対しては適切な配慮がなされていません。
つまり「風が吹けば土ぼこりが立つ」程度のところなのです。
でも僕たちは経験的に何かを予測しようとした場合、自身の予測行為が周りに影響を与えることを理解しています。
例えば、競馬で同じレースの中で1つの馬に皆が掛け金をかけたとしたら、配当金の倍率は下がります。同様に予測した情報が市場に出回れば、それを元に先回りをする人間が現れます。そうした人間によって恣意的に予測とは異なる結果が生まれる可能性が出てきます。
すなわち、ここで言うところのポジティヴ・フィードバックの正体は人間の思考と感情そのものといえます。
ここで僕たちは、ひとつの問題に遭遇します。
予測するには、この世界に住むすべての人間をシミュレートする必要があるということです。
こうした問題に対して現在は解決できる方法はありません。しかし、決定論的カオスモデルによれば予測できる範囲内においてコントロールする(ポジティブ・フィードバックの影響を最小限に留める)ことは可能です。