技術的な視点だけでは理解できなかった日本のWeb3.0について

私はWeb3.0がGAFAにとって新たな大陸だと感じております。

先進的な標準化団体と企業が協力し、オープンなメタバースのための相互運用性スタンダードをリードするためThe Metaverse Standards Forum が設立されました。ここにも Meta の存在感を示しております。

なお7/19時点でメンバーは1000社を超えた模様です。

https://metaverse-standards.org/


一方で自民党はWeb3.0がGAFAに対抗する手段として捉えている模様です。

web2.0では経済合理性でGAFAに象徴される「絶対王政」のような状態…に対して、ブロックチェーンといった分散自律的な技術が入ることでデジタル上の「民主化」…が広義の意味でWeb3.0と言われています。

自民党 | 河野太郎×渡辺創太 Web3.0を語る 「新しい資本主義はWeb3.0だ!」

また、更に経済産業省 平成30年度産業技術調査事業、内閣官房 ブロックチェーンに関する関係府省庁連絡会議、内閣官房・新経済連盟 ブロックチェーン官民推進会合に有識者兼オブザーバーとして参画してきた株式会社techtec 代表取締役CEO 田上 智裕 氏もWeb3がGAFAに対抗する手段として捉えている模様です。
こちらWeb1, Web2, Web3について記載されておりますが、参考にしたのはイーサリアムの共同設立者 Joseph Lubin が経営するConsenSys Web3レポートのようです。

なお、田上 智裕 氏はブロックチェーンに関する関係府省庁連絡会議 第2回において提言されていた内容が、こちらにまとめられておりますが、主に「カストディ問題と税制」「スタートアップ環境整備」を提言されていたと思われます。

https://hi-blockchain.world/techtec-news/post-2180/

提言された「カストディ問題と税制」について、田上 智裕 氏によれば

カストディ規制の見直しについて提言している人は他にいませんでした。これは識者の方に問題があるのではなく(当然各々に得意領域がありますので)、招聘するメンバーを選んだ内閣官房側に問題があります。

Tomo Tagami | 2022年の業界考察、明けましておめでとうございます

としております。

他にも第2回 ブロックチェーンに関する関係府省庁連絡会議において、日本ブロックチェーン協会(JBA)の代表理事で株式会社bitFlyer BlockchainのCEOでもある加納裕三氏は「ブロックチェーンを国家戦略に。」を政府に提言しております。

更に森・濱田松本法律事務所増島 雅和弁護士、BCCC代表理事のアステリア株式会社 執行役員 社長 平野 洋一郎 CEO、BCCC副代表理事 カレンシーポート株式会社 および DART’s 株式会社代表取締役 杉井靖典CEOが参加しており、それぞれ提言を行なった模様です。

このブロックチェーンに関する関係府省庁連絡会議では、「非金融分野」をテーマとしており金融庁、経産省、環境省、その他関係省庁の担当者が集まり、各産業におけるブロックチェーン活用について議論されました。つまり国策に影響を与えるもののようです。

そこで内閣官房の「ブロックチェーンに関する関係府省庁連絡会議」を主催した内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室 参事官補佐の谷本琢磨氏のレポートにはブロックチェーン技術の官民推進会合が目指す社会実装への道として描かれております。

ブロックチェーン技術の官民推進会合が目指す社会実装への道
谷本氏のこういった考えに基づいて発足したのが、ブロックチェーン技術の官民推進会合だ。民間では新経済連盟が、官庁では内閣官房IT室が事務局となり、自治体や大手企業の有識者を招いて会議を開く。提言にとどまらず、ブロックチェーン技術の社会実装へとつなげていくことが目的だ。

CoinDesk Japan | 日本のIT戦略の中枢・内閣官房キーマンが語る──ブロックチェーン技術の「適用と課題」【イベントレポート】

2021.06.30 新経済連盟+内閣官房IT推進戦略本部ブロックチェーンに関する官民推進会合報告」において、田上智裕 氏が代表の株式会社techtecから教育データをブロックチェーンで管理するPoLについて掲載されております。

新経済連盟 ブロックチェーンに関する官民推進会合報告

更に「ブロックチェーンに関する官民推進会合報告」において田上智裕 氏が代表の株式会社techtecからは教育データをブロックチェーンで管理するPoLなどがあることから、こうした個別分野の取組を踏まえて、データのオーナシップとポータビリティの確保を検討していく方向性が示されました。

新経済連盟 ブロックチェーンに関する官民推進会合報告

つまりWeb3.0がGAFAに対抗する手段として捉えているのは、 株式会社techtec 代表取締役CEO 田上 智裕 氏の考えではなくブロックチェーンに関する官民推進会合の主催者側である新経済連盟の意向に沿ったものだと考えられます。

GAFAと戦うために必要なこと
よく新経済連盟を立ち上げましたよね。経済団体を一から立ち上げて政府に提言している。

三木谷氏:新経済連盟のために楽天を経営しているという考え方もあります。やはり、日本をよくしたい。政府を変えるのではなくて、アントレプレナーを生み出す大きな基盤をつくりたいのです。それをしない限りは、GAFAに勝つなんて夢の話です。

GAFAに対抗するには日本に優秀な人材を集める必要があります。楽天モバイルも一つのブレークスルーになると思っています。そういう意味でも社運をかけてやっています。

日経ビジネス | 楽天・三木谷氏「あらがえぬならテクノロジーの先端にいよう」

まとめると、Web3.0がGAFAに対抗する手段として捉えられ、「岸田首相の“新しい資本主義”の柱にWeb3.0を」と提言され、イーサリアムの共同設立者 Joseph Lubin が経営するConsenSys Web3レポートとは少し異なる解釈がされた。

このような背景がWeb3.0には伴っていると感じます。

投稿者: 二本松 哲也

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