高高度電磁パルス攻撃いわゆるHEMPの脅威について

高高度電磁パルス攻撃の脅威

日本政府は、少なくとも、HEMPの脅威特にHEMPの破壊等の効果を認識し、HEMP攻撃に技術的に対応し得る日本の現状について、特にどこまで技術的に対応できるか、またどのようにすればHEMPの破壊等効果を低減・回避できるかついて、明らかにする必要があります。参考までに明らかすべき一例としては、東京電力が東京周辺に送電するために総延長7,000kmにわたって東京周辺の地下に敷設しているといわれる送電線・配電線(途中には各種変電所・変圧器が設置されている)の安全性、地上の発電所から地上に架設された送電線・配電線によって送電されてくる電気を、地下の配電線等で首都圏地域に送電・配電しており地上の変電所等がHEMP攻撃によって破壊等された場合、地上送電線等での送電はもとより地下送電線等への送電も停止状態となり、東京周辺地域に大規模な停電を引き起こします。また地下送電線網には地上の送電線等に誘起した地下送電線・配電線の変圧器等も、また地下配電線と接続している地上および地下施設の電子機器等も破壊されることが懸念されます。

出典:高高度電磁パルス攻撃の脅威
元陸上自衛隊化学学校長 鬼塚 隆志 氏

他国のHEMP

伝えられるところによると、ロシアや中国などのいくつかの潜在的な米国の敵は、核弾道ミサイルで米国に対して壊滅的なHEMP攻撃を開始することができ、北朝鮮などの他の国は、2015年までにその能力を持つ可能性があります。おそらく今後数年間でHEMPを開発する可能性がある国はイギリス、フランス、インド、イスラエル、パキスタンが含まれます。

2005年に、イランは北朝鮮から2,500マイルの射程を持ついくつかの中距離および中距離弾道ミサイルを手配したと伝えられており、2006年イランはShahab-3核弾頭対応弾道ミサイルをテストしました。これらの爆発はミサイルの自爆メカニズムの結果である可能性がありますが、イランは2006年のテストが完全に成功したと公式に説明しています。2005年の司法委員会、テロ、技術、国土安全保障小委員会の公聴会で目撃者は、この出来事はイランがHEMP攻撃の実行のために訓練している可能性があることを示している可能性があると指摘しました。2008年7月、イランはさらにいくつかの長距離弾道ミサイルをテスト発射しました。

2008年6月25日、下院武装サービス委員会によるとEMPを使用した中国による攻撃の標的となる可能性があります。1999年のDOD報告によると、中国は電磁パルス兵器の開発を積極的に開発しており、他の電子戦システムやレーザー兵器の開発に多大なリソースを費やしてきました。また、中国の指導者たちは、反撃兵器やその他の宇宙ベースの防衛システムを、将来の戦争の避けられないシナリオの一部と見なしていると述べた。中国が2010年までに米国を攻撃できる60ものICBMを持つ可能性があります。また、中国はこの10年の終わりまでに、またはそれより早く、現在のICBMの20を長距離ミサイルに置き換える可能性があります。

ウラジーミル・ルキン元ソビエト駐米大使であり、ロシア議会国際問題委員会の元議長は、ロシアは現在、米国に対してHEMP効果を生み出す能力を持っていると述べたと伝えられています。1962年、当時のソビエト連邦は一連の大気核実験を実施し、サージプロテクタの焼損、電源の故障、600kmの距離での頭上および地下の埋設ケーブルの損傷を含むHEMPの影響を観察しました。それ以来、ロシアは民間および軍用電子機器の両方を強化し、これらの保護されたシステムを操作する要員に継続的なトレーニングを提供することにより、HEMPからインフラストラクチャを保護するための広範な準備を行ったと報告されています。他の情報筋によると、ロシアには現在、電子戦兵器と電磁パルス効果の研究を行っている世界有数の物理学者がいます。

出典:High Altitude Electromagnetic Pulse (HEMP) and High Power Microwave (HPM) Devices: Threat Assessments
www.everycrsreport.com

投稿者: 二本松 哲也

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