「使わない」暗号資産(暗号通貨)が「こんなに爆上がり」しているのは何故でしょうか、暗号通貨には、それぞれの目的がありホワイトペーパーが公開されています。先ずは暗号通貨の目的を知ることで、現象を手掛かりに本質を見極めたいと思います。
【ビットコインが「こんなに爆上がり」している背景】 「使わない」暗号資産を大金で買う人が増えた訳 #東洋経済オンラインhttps://t.co/vdoUT1VZyc
— 東洋経済オンライン (@Toyokeizai) April 5, 2024
Bitcoin
必要なのは信用ではなく、暗号学的証明に基づいた電子取引システムであり、これにより信用の置ける第三者を介さずに、利用者間の直接取引が可能となる。
ビットコイン:P2P 電子通貨システム ホワイトペーパー | Satoshi Nakamoto
暗号学的証明に基づく信用力を目的としたbitcoin、「使わない」でも保有する、その信用力が実証されている証左なのです。
本当に凄いのは中央管理者がいない通貨を実現できたことだ。例えば中央銀行には無いある種の独立性が「市場の信頼」を確保する可能性がある。
— 二本松哲也 (@t_nihonmatsu) December 14, 2017
元日銀の麗澤大学経済学部教授 中島氏は分散型ネットワーク技術の一つであるブロックチェーンが凄いと言っておりますが。それは手段に過ぎず。 https://t.co/aJ7Oz1MraZ
なお、暗号学的証明に基づく信用力を目的としたbitcoinの限界は以下の通りです。暗号学的証明に基づく信用力の戦いの歴史でもあると感じます。
本システムは、善意のノードが攻撃者グループのノードを上回るCPU パワーをコントロールしている限り安全である。
ビットコイン:P2P 電子通貨システム | Satoshi Nakamoto
実際にEthereumでは、大きな事件が発生しました。
基本的なブロックチェーンの仕組みとして、ネットワーク上のノードが取引を一つのブロックにまとめ、ブロックを一つのチェーンにして、「取引」を記録します。2つの競合する取引がほぼ同時に起こった場合、ネットワークは一方を選択し、もう一方を拒否することでこの競合を解決し、すべてのノードが同じ分散台帳のコピーを持っています。
「記録を書き換える」ためには、全ノードの51%以上が同意しなければならず、これはBitcoin や Ethereum の歴史上一度も起こったことがありません。
つまり分散型ネットワークの目標は、誰もそのようなことができないことを保証する仕組みです。
そこで、スマートコントラクトは、独立した契約でありコード自体が、それが表す「取引」の決定者であることを意図していることから、 攻撃者はDAOと Ethereum コミュニティに向けて、自分の「報酬」は合法だと主張し、これを無効化しようとする者に対して法的措置を取ると脅しました。
この主張はスマートコントラクトの前提を根拠としており、コードの外には取引の「ルールを変更」はできないというものでした。
Ethereum
Ethereumの目的は、分散型アプリケーションを構築するための代替プロトコルを作成すること。それによって、オンブロックチェーンのトークンシステム、金融派生商品、分散型ファイルストレージ、分散型自律組織(DAO)など、通貨の域を超えて活用され進化してきました。
一方で、2022年9月15日 The Merge 後のイーサリアムはPoS(いわゆる資本主義)へ移行しましたが、キャピタルゲイン志向が根強く残っており「バーン(Burn=焼却」によって供給量をコントロール、手数料(GAS)も高く、アプリケーションが普及する妨げとなっています。
The Marge – 間もなくEthereumのメインネット(Proof- of-Work)はビーコン チェーン (Proof-of-stake)と統合されます。
— 二本松哲也 (@t_nihonmatsu) September 8, 2022
なお、9月10日~20日に行われますが、ビーコン チェーンのハード フォークは9月6日に行われます。それまでにクライアントを更新が必要です。https://t.co/fcWKQYwkTD
2024年3月13日 Cancun-Deneb (Dencun) は、イーサリアムネットワークのアップグレードで、Proto-Danksharding(EIP-4844)を有効化し、レイヤー2(L2)に安価なテンポラリデータblobを導入しましたが、ブロック内の 限られたBLOB が満杯の場合、 L1 および L2 ガスの価格が上昇する可能性があります。
マイナーが不利益を被るThe Margeを実現したEthereum財団の政治力と、資本主義(PoS)的志向から、分散型アプリケーションを構築するための代替プロトコルとしての方向性がやや不透明に感じます。
Bitcoin Cash
Bitcoin Cashの目的は、世界中のすべての人々が使用できる低料金のピアツーピア電子通貨システム
よって、 暗号学的証明に基づく信用力を実証したbitcoinから派生して、ブロックサイズを32Mに拡張することで、お金として「使うこと」を進化させてきたと感じます。
Bitcoin Cashは、暗号学的証明に基づく信用力を実証したBitcoinよりも、Satoshi Nakamotoの思想に近い実装だと私は思います。しかし、純粋なP2P電子通貨としてはステーブルコインが既存の法定通貨との親和性がありボラリティも小さい。よってBitcoin Cashは発展途上だと感じます。
Congrats on the 2023 upgrade, Bitcoin Cash! 🎉
— Jason Dreyzehner (@bitjson) May 15, 2023
Beginning with block #792773 (000000000000000002fc0cdadaef1857bbd2936d37ea94f80ba3db4a5e8353e8), $BCH supports #CashTokens, future-proof multiparty vaults (P2SH32), and several non-breaking technical improvements to TX validation.
2023年5月16日にリリースされた CashToken は、Bitcoin Cashネットワーク上で誰もが作成および使用できるデジタル資産です。代替可能なトークンと代替不可能なトークンの両方をサポートしており、トランザクション手数料も低く抑えられ0.01 ドル未満です。
更にBitcoin Cash – CashTokenの分散型アプリケーションは、トランザクションの注文をマイナーに依存しないため、ネットワーク使用率が高くてもトランザクション手数料には影響しません。
まとめ
これらのことから、Bitcoinは暗号学的証明に基づく信用力が実証され、今後も価値が上がっていく傾向にあります。
Ethereumは分散型アプリケーションを構築するための代替プロトコルとして、様々なアプリやサービスが生み出されていますが、GAS代が高いため普及が妨げられています。今後は価値を安定させることが必要です。
Bitcoin Cashの目的は、世界中のすべての人々が使用できる低料金のピアツーピア電子通貨システムとして、トランザクション手数料も安く抑えられています。ここについてはステーブルコインと競合します。また、Bitcoinと同様に暗号学的証明に基づく信用力をベースとしているため、価値は上がっていく傾向にあると思います。