CIOは軍隊でいえば司令官のような立場、このCIOはまるで銀河英雄伝説で例えるならばイゼルローン駐留艦隊司令官ゼークトのようだ。
アスターテ会戦
なお、同盟軍第2艦隊次席幕僚ヤン・ウェンリーは劣勢下においても部下にこんな言葉をかけていた。
「心配するな。私の命令に従えば助かる。生還したい者は落着いて私の指示に従ってほしい。わが部隊は現在のところ負けているが、要は最後の瞬間に勝っていればいいのだ」
銀河英雄伝説 アスターテ会戦
その後、ヤン・ウェンリーは敵(帝国軍 ラインハルト・フォン・ローエングラム)が勢いづいた事で紡錘陣形に再編成して中央突破することを予測し、陣形が左右に分断されたように見せつつ、艦隊を逆方向に進め敵艦隊の背部に回り込むことに成功しました。
戦況を見極める
これは勝ち負けに振り回されず(戦況を見極め引き分けを想定した戦術を採用)、敵の意図を理解し続ける執念によって、艦隊の全滅を免れアスターテ星域に侵入した帝国軍を撤退させるきっかけに繋がったと思います。つまり、人は見たいと欲する現実しか考えられないため言葉や行動に現れてしまうことを、ユリウス・カエサルのように理解していたと考えられます。この場合、各個撃破に徹するラインハルトの作戦が功を奏している事から、次の手を読む手掛かりになりました。
人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。 多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない
ユリウス・カエサル 塩野七生著:ローマ人の物語
戦略と戦術を駆使する
さて、窮地に追いやられたCIOが司令官として、どのように命令を下せば良いでしょうか。ヤン・ウェンリーならばこのように伝えたのではないかと想像してみました。
「お前らのせいだ、賠償だ。」
・・・賠償より大切なものがあるのでは。つまり
「賠償の必要がある、だがお金だけでは解決できない点もある、つまり再発防止に備えるため課題を整理しよう」
「これだけでは判断できない」
・・・自分が判断するために必要なものを相手に伝えよう。つまり
「判断するために必要な情報は✖︎と✖︎だ。いつまでに報告できるか教えて欲しい」
「もうプレスは出てる!明日までにやれ!」
・・・明日までに何をすれば良いか指示を出そう。つまり
「対策には4つの戦略(回避、転嫁、軽減、受容)がある、プレスも出ているので明日までに何らかの対策をするつもりだ、可能なら回避したい意見を聞かせてくれ」
※例えば、回避:完全に復旧、転嫁:業者へ委託、軽減:暫定的な対策、受容:謝罪と賠償
これからはサイバーセキュリティ対策は経営責任となります。ヤン・ウェンリー のように実戦で戦略と戦術を駆使できる「不敗」の司令官こそが、必要となる時代が到来したと感じます。